手をつなごう
「そっかぁ・・・」
溜め息と一緒に吐き出される言葉。
グラスを待つ手に、力が入る。
他人事と思えない状況に、椿の瞳は圭一を捕らえる。
「俺が悪いんだと思うよ。仕事が順調になって、責任ある地位に着いた。好きで選んだ仕事だから、嬉しかったんだ。逢えなかったり、連絡出来なくなったり、縁には申し訳ないと思った。でも、仕事が俺の誇りだから分かってくれてると思ってた。」
眉間にシワを寄せて、苦しそうに言葉を並べる。
「そんなんだったら、誰でも寂しくなるし、不安にもなるよ。」
自分と縁の立場がダブる。