トイレキッス
BGMと共に、幕がゆっくりとあがっていった。
園児達はまだ好き勝手に騒ぎつづけていた。けたたましい声が、講堂内の空気をひっかきまわしている。よく見ると、走りまわっている園児が何人かいて、先生がそれを追いかけていた。
さっきよりも、状況がひどくなっている。
「あのガキ共」
洋平は低くうめいた。
これでは芝居なんてとてもできそうにない。
そのときだ。
「今日は楽しいクリスマス」
ミツキのよく通る声が、騒ぎ声の隙間をぬけるようにして講堂中にひびきわたった。
園児達は静まりかえり、目を丸くして舞台に注目した。走りまわっていた園児達も、思わず立ち止まってそれにならう。彼等の視線の先では、ミツキがひょうひょうとした様子で演技を始めていた。
そのあとは、もう大丈夫だった。
ミツキの演技にひきこまれた園児達は、だまって芝居を見るようになった。時折聞こえる笑い声から、園児達が芝居を楽しんでいることがわかった。
洋平は胸をなでおろした。