接吻《修正中》
お袋が何を考えて薬指の指輪を中指にするか、何となく予想はついてる。

でも、俺はお袋と違うから本当の事なんて知らない。

目で見た、この真実しか俺は知らないんだ・・・。


「・・・寛久・・・違うの」

「何が違うんだよ。何も違わないだろ?あんたは、あんたの病院の医者とできてる。そうだろ?」

「ひろ・・・寛久・・・」


息子の口から、そんなに聞きたいのかよ?

あんたの秘密も、理由も。

全て知ってるって言ってんのに、その全てをわざわざ俺の口から聞きたいのか?


「・・・俺は、ずっと昔から知ってた。だから・・・あんたは今まで通り、あの男に会いに行けよ・・・」


どうせ終わらないであろうこの日々を、今更変えようなんて考えちゃいない。


「・・・寛久・・・」


今にも消えそうなお袋の声は、俺の名を何度も呼ぶ・・・。
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