エンドロール
「彼女に会えるか?」
「容体にもよりますが、おそらく大丈夫かと。
ただ、治療の副作用なのか少々記憶の混濁が見られるとのことです。」
「記憶喪失か何かか?」
「えぇ。実は彼女には2人の子どもの出産歴があるとのことなのです。」
「ガキがいるのか!?」
思いもよらない情報に驚愕した。
昔から身体が弱く、入退院を繰り返していた。そんな身体で運動もろくにできなかったはずだ。
ましてや出産なんて下手すれば己の寿命も削ることになる。
それはそんな身体とずっと付き合ってきた彼女自身が一番よくわかっているはず。
それでも出産したということは彼女自身の中で何か譲れない理由でもあったのだろう。
「えぇ…。しかし、本人にはどうやらその記憶がないそうで…。お子さんの話をすると発作のようなものを起こしてしまうとのことです。」
「そうか…。事情は理解した。とりあえず、車を回してくれ。」
「かしこまりました。」
背広をひらりとはおり、出発の準備をした。