エンドロール
御堂が小宮を手にいれようとしているなら彼女にも御堂の魔の手が迫るはずだ。それに、連日彼女の元を訪れる警察関係者から引きはがすためにも水嶋の息のかかったこの病院に転院させた。
「なんとお礼を申し上げたらよいか…。」
「私も以前先生にはお世話になった身ですので何かお力になれたらと思っていたんです。
こうやってお役に立てたなら光栄です。」
嘘だ。弘原海康生にお世話どころか顔すら合わせたこともない。
「京華さん、それより体調の方はいかがですか?」
「今日はとても調子がいいみたいです。」
「そうですか。押しかけてきた身でなんですが、無理はなさらないでください。」
「いえ。病院の方以外とお話をするのは久しぶりで…。ありがとうございます。」
クスリと弱々しく笑う彼女はとても優しく、それで穏やかで見つめているとなんだかこちらまで穏やかな気持ちにさせられた。
そしてふと、彼女の傍らの寝台にポツリと飾られた写真に目がとまった。
「これは学生時代の先生と京華さんですか?」
そこに写っていたのは、まだあどけなさが残る制服姿の男女。
卒業式の写真だろうか。
二人とも左胸に黄色いブリザーブドフラワーのコサージュをつけて一人は照れくさそうに目線を外す男の子と明るく笑顔でカメラに向かってピースサインをする女子。
「えぇ。康生…夫と私が高校生だったころの写真です。」
一人は小宮。もう片方は今も尚、病室で戦い続ける彼女自身。
小宮が愛してやまない妻。
これは二人の若かりし頃の写真だ。