エンドロール



「そこにたまたま彼が居合わせてしまって、その現場を目の当たりにした彼がこっちが心配になるくらいに青ざめた顔で卒倒しそうなくらいオロオロと心配をし出したの。しかも彼女たちそっちのけでよ。」

どうしようない人と言わんばかりに呆れたような表情で当時の弘原海について語る。


「私、オレの女に手を出すなーなんてこと言って守ってくれるのかなってちょつと期待したのに怪我してないかとか気分悪くなってないかとかばっかり気にして、他の女の子たちには一切目もくれてなかったの。

あー、この人はほんとに私のことしか見えてないんだなーって思った。それが、とても嬉しい反面申し訳ないようにも思えた。」

小宮のことを話している彼女から彼を愛しむ感情が溢れており、窓から射し込む赤みがかった陽光が室内を明るく照らしているのも相俟ってその姿はとても綺麗で美しく輝いて見えた。

だけど、彼の愛情を一身に受けながらもなお、それで満足しているようには感じられない。

「なぜです?」

彼女の杞憂は他のところにあるような気がした。

「あの人、私の心配はする癖に自分は私の病気を治そうと朝から晩まで寝る間も惜しんで必死に医者になるために勉強してた。」

「とても献身的で素敵ですね。」


彼女は横に首を振った。



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