エンドロール
外はすっかり日は落ちて、月の輪郭がはっきり確認できるほどにその存在感を放っていた。
そして、車の中から窓の外で目の前を通り過ぎていく計算して等間隔に配置された街頭を眺めていると運転中の高城が後部座席に座るオレにミラー越しで話しかけてきた。
「珍しいですね。」
「なにが。」
言いたいことはなんとなくわかったが、あまり他人にツッコんでほしくないためにわざわざ聞き直した。
「社長が殺人犯を救おうだなんて。」
かといって、その心理を察してもらえるわけでもなく話題は変わらない。
「別に救うとは言っていない。」
「そうでしたね。失礼しました。」
高城の言う通り今日は何か変なスイッチが入っているみたいだ。
それもこれもあの小娘、美紅にでも感化されたのか。
そういえば”あの人”も昔からそういう人だった。
自分の為とか言いながら何の関わりのない人間の手助けとかこちらが心配になるくらいに無茶ばかりしていたなとふと思い出に浸った。
「高城。」
「はい。」
「そろそろトシに手を引いて帰って来るよう連絡しろ。」
美紅が例のファイルを持ち出したことそろそろ気づかれてもおかしくないころだ。
そうなれば、きっとこちらの動きに気づくのも時間の問題だろう。
逃げ道を断たれる前に帰ってきた方がいい。