エンドロール
「帰るぞ。」
「…………。」
部屋を出るように促すが一向に動こうとせず、俯いたままその場で黙り込む。
「どうした?そんなにここが気に入ったか?」
「……………。」
試しに冗談交じりにからかうが、それでも黙り込んだまま。
急に気分でも悪くなったのかと心配になり美紅に近づく。
「………ごめんなさい。」
大丈夫かと美紅に手を伸ばそうとした瞬間、思いもしない言葉に唖然としてその手を止める。
宙に浮いたまま行き場を失ってしまったその手が宙をさまよう。
「閉じ込められた時にどこか頭でも打ったか?」
あまりにも想像していなかった言葉が発せられたので自分でも今間抜けな顔をしているのがわかる。
「…そんなんじゃないわ。」
「じゃあ、変なものでも食ったか?」
「殺すわよ。」
ここでようやく顔を上げて、キッとこちらを睨み上げる。
珍しくしおらしいことを言うもんだからつい。
いつも通りの強気な態度に体調が悪くなったとかではないのだとわかり、少し安心した。
「一体どういう風の吹き回しだ?」
「あなたがちゃんと私を守ろうとしているのはわかってる。だけど、私は確かに守ってほしいとは言ったけれど守られるだけじゃ嫌なのよ。私もちゃんと戦いたい。」
そして今度は眉をへの字にした。
いつも難しい顔をしているがコロコロと変わる表情を見ていると本当はもっと感情の移り変わりが激しく表情豊かな人間なのではないかと思う。
一見似ても似つかないのにふとした時の仕草や表情があの人を思い出させる。