エンドロール
ただ、どうも身動きがとれない。
静かな空間で、自分のものではない呼吸の音がした。
そして、普段はない生暖かく大きなものを感じる。
一体これが何か、それはすぐにわかった。
穏やかな寝息につられて背後を見ると、目の前にはよく見知った顔があった。
ただ、なぜこうなっているのかを把握すべく覚醒したばかりの頭を回転させる。
昨日、夕飯をたらふく食べて満足した私は、はち切れそうな胃袋あたりををさすりながら少し消化されるのを待とうとソファに倒れこんだ。
だけど、そこからのことは全く思い出せない。
ということは、ソファの上でそのまま夢の世界へ誘われたのだろう。
そこまではいい。
なぜ私は今自分の部屋にいて、しかも社長の腕に抱えられて大きな胸板を至近距離で目の前にしているのだろう。
まさかと思い、恐る恐る布団を捲ってみる。
服はしっかりと身に纏っており、安心して胸を撫でおろす。
しかし、どうしてこうなっているのかどれだけ考えても覚えてないものは覚えていないし、わからないものはわからない。
それに何より頭を埋め尽くしたのは、伊織への罪悪感。
私としたことが行為には至っていないないとはいえ、伊織以外の男と一晩ベッドの上で共にしてしまった。
日に日に伊織に対して後ろめたさが増していき、次に会ったときにどんな顔したらよいのかわからない。
そんなの愛人契約をした時点で今更だと言われれば元もこもないだろうけど、それでもそれとこれとは話は別だ。