エンドロール
「だけど変ね。」
「何が。」
「経歴は至って普通なのよ。」
公務員の父親と元銀行員で現在専業主婦母親の間に生まれたごく一般家庭で育ち、不登校やいじめにあうこともなく義務教育を修了。
現在は、都内の通信制高校に通う一般女子高生。
通院歴を探ってみるも、これと言って大きな病気をして医者に罹った形跡もない。
一見何も問題が無さそうに思えるが、彼女の名前と今の置かれている身の上から考えると逆におかしい。
「経歴は書き換えられているってことか。」
あの年で孤児院で住み込みで働いている時点で親も一緒ならともかく普通の経歴はまずありえない。
両親が亡くなったとか身寄りがいないとかだったら納得できる。
なんなら彼女自身も孤児で割のいいバイトをしているって言う方がまだ自然だ。
(………ん?待って。孤児………?)
そこで私は一つの仮説が頭に浮かんだ。
「ただの同姓同名っていうだけの可能性は?」
「さっきも言ったけれど、それはたぶんない。」
「なぜそう言い切れる。」
「…………。」
トシがこちらに言葉を投げかけているが、考え込んでしまっている私の耳には右から左へ流れていた。