「視えるんです」
「あの子がそばに居ることを、ばあちゃんはなんとなく気付いてた。
足音とか、視線とか、本当になんとなくだけど、感じてたんだ。
初めは、来てくれたことを嬉しく思ったものの……成仏せずに留まっちまうのは、決していいことではない。
だから俺が呼ばれた。 あの子を、両親の元へと帰すために」
「そうだったんですか……。
でも、先生みたいな胡散臭い人に、よく話をしましたよね、おばあさんは」
「まぁ、昔からの知り合いだからな」
「え、そうなんですか?」
「おう。って言っても、俺自身の知り合いっつーより、親父の知り合いだ」
先生の、お父さん……。
それって、どういう関係ですか? と聞こうとした時、隣に居た先輩が教えてくれた。
「あのおばあさんの、亡くなった旦那さん……チエちゃんのおじいちゃんは、習字教室の先生だったんだ。
半沢ティーチャーのお父さんは、そのおじいさんと共同で教室を開いていたんだよ」
「えぇ!? そうなんですか!!」
「うん」
なるほど……だからこう、親しげだったんだ。
あ、だからタダ働きでもオッケー。ってことだったりして……。
「ま、その親父ももう死んじまったけどな」
ふっと煙を吐き出した先生は、僅かに笑みを浮かべた。
厳しい親父だったよ。と。
でも面白くて好きだった。と、寂しげに言って……。
「……さてと、仕事はまだまだあるぞー。
今度はお前らも手伝え。つーか、俺に楽をさせろ」
……寂しそうな顔が一変、ニヤリと笑った先生は、鏡越しに私を見る。
お前今度は泣くかもな。と、付け加えて。