「視えるんです」







「……お取り込み中のところ、悪いんだが」




……!?

なっ……雨宮さんっ……!?


いつから居たんですか!? と思うくらい、椅子に座って足を組む姿は、落ち着き払っている。

もしかして今までのやり取り、めっちゃ見られてた……!?




「雨宮、いつから居たんだ?」

「さぁな。そんなことより、見つけたぞ」




平然と問いかける翔先輩と、同じく表情を変えない雨宮さん。

なんか、私一人があたふたしてる感じ……というか、確実に、私一人だけ焦ってる。

……なんか、二人があまりに平然としてるから……私も、あまり深く考え込まないようにしよう……。


……ん?

『見つけた』って、何を?




「あの……雨宮さん」

「……」




うわっ、あからさまにイヤな顔された。

『口を出すな』とでも言っているかのような目と、極めつけのため息。

そんなあからさまに表情を作らなくてもいいのに!! と怒りが沸くと同時に、無力な自分にむなしくなったり……。

とにかくもう、色々なことを感じ、さっきまでの涙は一気に引っ込んだ。




「見つけた。というのは、半沢ティーチャーの言ってたアレ?」

「……あぁ、図書室の近くのトイレだ」

「そっか」




半沢先生の言ってたアレ。

それを聞いて頭に浮かんだのは、さっき聞いたアレだった。




ーー『近頃、校内の様子がおかしいから気を付けろよ』




……そして雨宮さんの言った、『図書室の近くのトイレ』。

二つが組み合わされたら、それはもう、『よくないこと』以外は、浮かばない。


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