「視えるんです」


ガタンッ

「ひぃ!?」




突然、大きな音と共にピアノの前にあった椅子が倒れた。

当然、私は間抜けな悲鳴を上げ……即座に先生のシャツにすがりつく。

いや、待て。
確か、前にもこんな光景が……。

あの時はピアノの鍵盤の蓋が勝手に閉まり、私は大騒ぎしたけれど。
実際は先生が糸で操ってた。というオチ。

まさか、これもまた先生が……!?




「なんだよ、いいところだったのに」




そう言った先生の顔からは笑顔が消えていて、不快そうに眉を寄せていた。

……先生じゃ、ない。

不快そうに椅子を見る先生は糸なんて持っていないし、椅子からも、糸なんて出ていない。

じゃあ何故椅子が?
……その答えは、簡単だ。


何かが、そこに居る。


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