「視えるんです」
「女の子が、視える……」
「お、視えたか。 害はないから叫ぶなよ」
先生に言われるまでもなく、叫ぶ必要なんてないくらい可愛い女の子がそこに居る。
5歳くらい、だろうか。
知らない人に囲まれて不安そうにしながらも、あめ玉を気にしてる。
あぁ、あめが食べたいんだ。
でも知らない人ばかりだから、怖いんだ。
そんな風に思えるほど、私には余裕があった。
でも私以上に余裕がある人が、二人。
もちろんそれは、私の隣に居る本田先輩と……あめ玉を置いた半沢先生。
「いいよ、あげる」
ビックリするくらい優しい声。
知ってる先生が、まるで別人と思えるほど……とにかく先生は、優しかった。
あめ玉を包んでる紙を優しく開いて、あめをそっと女の子の口元へと運ぶ。
でも……幽霊って、食べることが出来るのかな……?
と、そう思ったのも束の間。
女の子は美味しそうにあめ玉を口に含め、やっと微笑んだ。
「本当に食べたわけじゃないんだよ」
「え?」
隣に居た先輩が、先生の手元を見るよう視線で促す。