「視えるんです」


そこには、あめ玉がある。
女の子の頬は確かにあめを食べているように膨らんでいるけど、あめ玉は、先生の手の中……。




「『気』を操ることが出来るから、こういうことが出来るんだ。
その物の気を掴み、与え、相手を安心させる。
逆に、『気』を飛ばして相手を殴ったり。 色々出来るんだ」




気……そうか、それで先生は、幽霊に触れることが出来るし、こうやってあめ玉を与えることも出来るんだ。

……そういえば雨宮さんも言ってたっけ。
殴られた時、鉄球が飛んできたような感じだった、って。

これが、半沢先生の力……。




「チエちゃんは、どんな遊びが好きなのかな?」

「……なわとび」

「そうか、縄跳びが好きなんだね。
すごいね、もう上手に飛べるんだ」

「うん、ようちえんでほめられたんだよ」

「そうかぁ、嬉しかったね」

「うんっ」




先生の言葉に、チエちゃんは恥ずかしそうにしながらも嬉しそうに笑う。

半透明、ということを除けば、ごく普通の幼稚園児だ。

縄跳びが好きで、折り紙を折るのも上手で、最近『2』が書けるようになったと喜んでいる、可愛い可愛い女の子。

でも……この子は、幽霊なんだ。




「お父さんとお母さんがどこに居るか、わかるかな?」

「……ううん、わかんない」

「一人で、ここまで歩いてきたの?」

「……うん。 おばあちゃんのいえに、いくっていってたから。
だから、あるいてきたの」

「そっか、遠かっただろう? 疲れたよね」

「うん……あし、つかれちゃった」




先生の問いかけとチエちゃんの答えで、なんとなく状況が掴める。

おばあちゃんのおうち……ここに来る途中で、チエちゃんは命を落とした……。

そして幽霊になったあと、一人でおばあちゃんのおうちへ……。


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