ONLOOKER Ⅴ

来るひと




放課後の真琴は、忙しなく足を動かしていた。

以前からCM契約しているメーカーの新商品の発売が近いのだが、今回は特に力を入れていて、五十パターン以上ものCM撮影の真っ最中なのだ。
ちょうどその撮影の時期と、英語スピーチコンクールの準備期間が重なってしまった。
おまけに、学期末テストも近い。

学校が終わったらすぐに仕事に向かい、仕事から帰ったらまた勉強して、眠くて働かない頭で作るスピーチ原稿は、遅々として進まない。
今日になってようやくなんとか形にはなったが、まだ誰かにチェックしてもらう必要がある。
語学の得意なクラスメイトに頼んでもよかったが、やはり先生に見てもらうのがいいだろうと、英語教師のマリーを探して、校舎をうろうろとさまよっていた。

職員室で待っていればわざわざ真琴が歩き回ることもないのだが、いつ戻ってくるのかわからないため、少々時間が無駄になってしまう。
クラスメイトや通りかかった先生の話では、最後の授業は三年生だったから、他に用がなければ北校舎にいるはず、とのことだったので、急いで足を運んだのだ。

仕事と勉強とコンクールの準備が重なって、正直少し疲れ気味だ。
最近食欲もないし、と溜め息を吐いたら、直姫に「おにぎり四個平らげた人の言うことじゃないと思う」と真顔で言われてしまったが。
ちなみにその時点で、まだ二つ残っていた。

ちょっと小腹空いたかも、と思いながら、腕時計を確認した。
校舎前にはもうマネージャーが迎えに来ているはずだ。
原稿はマリー先生に預けて添削してもらうとして、と、顔を上げた、その時だった。

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