sound village





柏木の異変に気付いたのは


「……柏木、お前、ちょっとこい。
神島、ちょっと頼まれてくれ。」


意外にも、部長だった。


「佐藤。こいつら、2人
借りていくぞ。」

「へっ?いいっすよ。今から
同行なら、俺もできますけど、
神島と柏木でいいですか?」

そう確認した係長に

「ああ。お前のツラは、
昨日散々みたからな。」


部長は、ドライに言い放つ。


“もぉ〜、部長の照れ屋さん”
等と、他人の俺が聞いても
鳥肌が立つ様なセリフを
サラッと吐いて、係長は
俺たちを送り出すのだった。


「神島、運転頼む。」

そう一言いって、部長は
助手席側の扉を開け、
乗り込むが…

「え…?いや、部長⁈」

そんな末席に座らせる訳に
いかないと、慌てる柏木を
一瞥して、部長は、自分が
ナビをするから、助手席に座ると
一蹴する。

日中でなければ、会社を出て
10数分で進むところ、半時間要し
到達した大通りで、部長は、路肩に
車を寄せる様、俺に指示した。


「俺は、ココでいい。
あとは徒歩でいく。帰りは
直帰するから、神島、お前は
柏木を病院に連れて行ってこい。」


そういって、部長は
カーナビに病院名を入力する。


「ここが、いいんじゃないか?
じゃあ、後は頼むぞ。」


そう言って、さっさと部長は
俺たちを車中に残し
何処かへ行ってしまった。










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