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「お腹空いてない? 先生たちに内緒で、パンあげよっか」
お昼ご飯を食べていない私を気遣って、先生がそう言ってくれた。
それと同時に、パソコン上で黒い石が白い石を何枚もひっくり返す。
「……もらいます。あの私、何でここに……」
質問を遮って、メロンパンが飛んできた。
腕と胸を使ってキャッチする。
「七瀬さん、一時間目始まる前から、死んだように眠ってたんですって。
一時間目の数学の先生が、何回起こしても揺すぶっても起きないから、心配して」
メロンパンを噛じりながら話を聞く。
「隣の席の男の子が、随分疲れてるみたいだったって言うから。
医務室で寝かせようって話になったの」
「……それで私は、8時間近く学校で熟睡してた──────ってことですか」
あまりに信じられない。
そもそも夜、しっかり寝たのに。
メロンパンの残りが少なくなったので袋から出して両手で持つと、また黒い石が何枚もひっくり返していた。