M√5

『さて、と。それでは、曲に移って頂きましょうか!』


それを聞くと、思わずどきりとした。


みんなを見ると、『大丈夫』という視線が返ってくるが……。


その表情はまさに、緊張しているそれだった。



気に食わないジジイが舞台から降りて、ライトが一層眩しくなる。


みんなで目を見合わせ、将人が合図をする。


そして、将人と倫生が同時にギターを弾きだした。



もう何十回も聞いたメロディー。


それがまるで、初めて聞いたかのような違和感を持っている。



不安と、まだ残っている嫌悪感。


それだけが、私の心を支配していた。



……嫌な感じ。

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