賭けで動く恋
「フフ、恵実さん、顔が林檎みたいですよ」
「だ、誰のせいですか!」
「おや、私のせいですか?
あれしきの愛撫で恵実さんが腰を抜かしたのは事実でしょう?」
「なっ!」
「あぁ、別に苗字で呼んでも構いませんよ。そうしたらもっと恵実さんの淫らな顔が見れますから」
淳さんの口から出る生々しい言葉に、男性経験がない私は更に顔に熱をためてうつ向くしかない。
「すみません。恵実さんに会えたのが嬉しくて年甲斐もなくはしゃぎすぎました」
屈んで下から私を覗きこむ淳さんは謝ってはいるけど、言った通りどこか楽し気な雰囲気を纏っていた。
「さ、ずっと外にいては冷えます。行きましょう」
いつまでもうつ向いてる私の手を引いて歩き出した神谷さんの家は1分もしないところにあって、そこに着くまで握られた手は顔に負けないくらい熱かった。