賭けで動く恋
「好きでもない、ね」
「あ…の…」
「分かりました。では恵実さんが私を好きになってくれるまでは我慢する事にします。
恋人になったら思う存分堪能させてもらいますよ、恵実さん」
小さな微笑みとからかってるのか軽い口調でほんの数秒流れた重い空気を払った淳さんは、私に縁側と部屋を仕切る戸にもたれて外を見るように言うとキャンバスに向き合った。
言われた通り、戸にもたれてぼんやりと目の前に広がる雪の積もった庭を眺めながら、私は淳さんが『好きでもない』と呟いた時に胸が締め付けられた事実に蓋をするように目を閉じた。