賭けで動く恋
はっきり自覚した思いに力強く彼女に答える。
「私をモデルにしたのは淳さんです。言わば雇用主。
その雇用主の許可なく辞める事は出来ません。
なのでこれはお返しします」
突き返した封筒に目を落とした彼女は、それを受け取らずに笑いだした。
「フフフ、ハハハハハハハハハ」
「……何が可笑しいんですか」
突然笑いはじめた彼女に眉間にしわを作る。
問う私の声を聞いた彼女はピタリと笑い声を止めた。
そうしてゆっくり顔を上げた彼女の表情はまるで般若のようだった。
1歩足を引いた私に、彼女はその表情とは真逆に優しい声を出して、私の左腕を指差した。
「私知ってるんですよ。その左腕の事」
その言葉ににサッと血の気が引く。