探偵vs
今、魔鵺が言ったことは全て事実だが、本来の依頼内容とは全く別だ。
「はい。私たちの両親は、二人とも死を迎えてます」
長々とした内容に、百合が答えたのはこの文だけだった。
「先にその報酬の話をしますが、依頼主の母親が死に赴いてしまったこともあり、料金は戴きません」
魔鵺は探偵を名乗りながら報酬額を取らない行動を取った。
「あの、それは本当ですか?」
「私の言葉に偽りはありません」
紗季は二人の会話についていけず、部屋でのんびりしていた。
「……それで、探偵さんは何が目的で?」
百合は率直に訊いた。
「目的?そんなのありませんよ」
魔鵺は目でそう言った。
「それでは、今日はこれだけを言いたかっただけです」
魔鵺はそう言って家を出た。
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