ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
「今川さん! どうしてここに?」
正義のヒーローに心が躍る。
「キミらが心配でな。家におらへんかったし、行きそうな場所を当たってみたんや」
「ホントに助かりました! ありがとうございます」
「えぇって! この子の飲酒も大目に見といたる」
「本当にありがとうございます」
俺は深々と頭をさげた。
沙奈は由香里に駆け寄り、身体を抱き起こす。
「もーう、しっかりして!! なんで、お酒なんか飲んだのよ!」
「だって……今日……死ぬんだもん」
切実な声は静かな部屋に響いた。
「由香里……」
「ヒック―あたし、まだ経験ないから、一度ぐらい女になって死にたかったの……さ、沙奈はわかってくれるでしょ?」
「グスッ、わかんないよ!」
ろれつの回らない言葉、だが心をえぐった。
俺もふと考えてみる。
……もしも、今日が最後の日になるとしたら、自分はいったい、なにをするだろう、と……。
由香里は、人に愛されることを望んだ。
……俺は? 愛する沙奈は……?
「どうしたの? へへっ、相手まちがえてるよ」
「いいんだ、これで!」
そのときにはもう、由香里を抱きしめていた。
彼女が哀れだからじゃない。
この思いを表すなら、それは“愛”だ、まぎれもなく。