ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
「あたしー、モテるなぁ~ヒィヒヒヒ……」
彼女は涙も乾かないうちに笑ってくれた。
「私も由香里が大好きだよ!」
覆いかぶさる俺たちを、まるで聖母のように抱き寄せる由香里。
「あらららら、なんか……すごーく幸せ」
心がおだやかになり、身体の力が抜けていく。
「フフ……フッ……」
「……寝かせてあげよう」
「うん、そうだね」
「部屋はどこ? なんか掛ける物持ってくるよ」
俺は2階の一番奥にある由香里の部屋のドアを開けた。
「アイツ……」
……知らなかった。
アイドルが好きだったなんて。
壁にはポスターが貼られ、ラックに並べられたCDやDVDも、そればかりだった。
俺は彼女を知っているようで知らない。
今まで、ちゃんと友達でいられていたのだろうか。
そんな気がして、急に焦り、毛布をつかんで1階へ戻る。
いつ起きてもいいように、コップ一杯の水をテーブルに置くと、
「せや、答えになりそうなもんは見つかったか?」
と今川が尋ねてくる。
「……いいえ、まだ」
俺は持っていた磨理子の日記を開いた。
「それ、オレにも見せてくれへんか?」
「えぇ、どうぞ!」
「おおきに」
手渡すと、今川はソファに浅く腰掛け、前のめりになりながら読みはじめた。
本当は、途中までしか読んでいないその続きを見るつもりだった。
限られた時間しかない俺たちにとって、日記だけが生命線。
……今川さんなら、終わらせる方法を見つけられるかもしれない。