ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



一瞬で空気が凍りついた。

……さすがにやりすぎだろ!


俺は冗談を制止しようと立ちあがる。

「ぃ今川さん! いくらなんでもやりす……」

「動くな゛!」

が、今川の顔は真剣そのもの。

「……ッ!?」

銃口は今、俺の左目と対峙している。

恐怖のあまり、息ができない。

「今川さん……?」

「黙れ!」

無抵抗なこの状況下でも、今川は声を張りあげた。

俺にはそれが、なにかの合図であるかのように思えてならない。

「シー!」

引き金に乗せられた人差し指とは逆の手で、突然口元に指をやる今川。

――ザッ……ザッ……ザッ。

……誰か来る!?

近付いてくる足音。

……まさか!? いや、まだあの時間じゃない。

そもそも、足音のはずがない。

沙奈と由香里も感じ取った様子で、さらに顔を強張らせた。

だが、目の前の今川だけはちがう。

「来おったで」

興奮に満ち満ちた表情をしていた。

と、そのとき!

「今すぐ銃を捨てろ!」

ドスの利いた低い声が響いた。

風に揺れるカーテンの奥には、銃を構えるひとりの男。



 
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