ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



「あのとき、敏也を刑務所にブチ込んどったら、磨理子と出会うことはなかった。忌まわしい事件が起きずに済んどったんや」

――パチッ!

彼はまた新しい手袋をはめ、浦野の銃を拾う。

「アンタが俺のことを調べているのはわかっとった。ここへ尾けて来よるのもな。一兎追ったら二兎も得てしもうたわ。クックッ」

「た゛……頼む! この子ら……だ、だけは……助け……て……やってくれ」

瀕死の状態でも、俺たちを守ろうとする浦野。

「フッ、残念ながら、このガキらを殺すのはアンタっちゅうシナリオや」

今川は、懇願する手を蹴りあげたあと、身体を抱き起こし、こめかみに銃を押しつける。

「な、なにを!?」

俺にはそれが腹話術のように見えた。

血まみれの人形を持つ術師は、ニヤリと妖しく観客に微笑みかける。

……やめろ!

「ヤメロ!!」

「イヤッ゛!」

「……アンタ、右利きだったよな?」

「やめ……」





――パァァーーンッ。




乾いた銃声が鳴り響く。




「……イ゛ヤァ゛アァーーッ!」



「ッッ……」

辺りに大量の血が散った。

糸を切られた人形のように弾け飛ぶ浦野の身体。

その生気を失った瞳は、まっ直ぐに俺たちを見据えていた。

「う゛ぅ、なんで……どうして……」

俺は嗚咽を抑えきれない。

目の前で人が殺された。これ以上、残酷な死に様はないぐらいに。

「さっ! おしゃべりはここまでや。お前たちの中から誰を一番に殺したろうか?」

再び向けられた銃口は、弾の行く先を探している。

「……こ、殺さないで!」

由香里は恐れ、

「敬太……」

沙奈は涙を流し、

―–ギリッ。

俺は奥歯を噛みしめ、今川を睨みつけた。



 
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