ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



磨理子は、次の……いや、本当の標的に照準を合わせる。

「わ、私を……見てる?」

由香里が声を震わせて問う。

俺は彼女の腕をつかんで力を込めた。

「いいか、由香里! 見ていれば彼女は動かない、お前を襲わない! 絶対に視線を外すな!」

「え!?」

「ッ゛ア゛!」

突如、背筋を貫く衝撃。

「ねぇ、ね゛ぇ! 敬太!?」

「「ッ゛ッ゛」」

「敬太!? 沙奈!?」

由香里は俺たちの身体をしきりに揺さぶる。

「う゛……」

沙奈も俺と同じ状況に陥っていた。

……まただ! クソッ、……動けない!

「ねえってば! なんで!? なんで、なにも答えてくれないの!?」

孤立無援になった由香里は取り乱す。

佑美のときもそうだった。

鬼を助けようとする者に金縛りをかけ、動きを封じるようだ。


ズズッ――


磨理子は向きを変えた。


ザザザザザッ――


由香里に向かって前進。

「く、来る……」

俺の助言を守り、由香里は視線を外さない。

……そうだ! それでいい。

ザッ――

……えっ、まさか!?

ザッ――

その”まさか”だった。

由香里は磨理子を見ているにも関わらず、残像という尾を引きながら瞬時に迫る。

「ど、どうして!? 敬太……助けて」

……なぜだ!?

小泉のときもそう。

……なぜだ!

彼女はルールに忠実なはず。

……なぜだ!!

「ち゛ゃんと見てるの゛に……」

横顔だけでも十分に恐怖が伝わってくる。

あのとき、小泉も同じ恐怖を味わっていたにちがいない。

「け゛い゛た゛ぁー……

 ズッ――

なんでよ!!」

磨理子は、瞬発的な動きで由香里に迫っている。

……瞬発。瞬間……。 もしかして!?

一瞬の閃きで、謎が解けた……気がする。




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