ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
―キキィーーッ!
「……ん?」
由香里の家の前に戻ってきたとき、なんとなく違和感を覚えた。
……さっきまでは、もっと暗い感じだったような……。
その答えを考える間もなく、玄関の戸を引く。
「っう゛!?」
熱い。これは、さっきよりも確実に。
「沙奈ぁー! 由香里ぃー!」
――ドッドッドッドッドッドッ!
2階から足音が聞こえる。
「いるのか!? 由香里! 沙奈!」
返事はない。
――ドタッドタッドタッドタッ!
ただ、頭上を子供のように駆け回る足音だけがする。
俺が2階へと続く階段に足をかけた、その瞬間!!
「ダメーッ!! 行っちゃダメ!」
爪を立て、腕をつかまれる。
後ろを振り返ると……。
「……さ、沙奈」
「ダメ……行かないで」
その瞳は激しく揺れていた。
「どうして!? 上にいるのは由香里なんだろ?」
「うん……ううん」
「しっかりしろ!」
全身の力が抜けたように、沙奈はその場にへたりこむ。
これ以上、なにを聞いても無駄だとわかった。
――トッ……トッ……トッ。
……だ、誰かおりてくる。
静かに、一歩一歩踏みしめるような足音。
次第に階段の周辺がオレンジ色に明るくなってゆく。
――トッ……トッ……トッ。
やがて、目の前の踊り場に現れたのは……。
「なッ゛!?」
「キィヤ゛ァーー……」
火ダルマの由香里だった。
沙奈はショックで気を失う。
――ゴオォォォーーッ。
由香里の手足は炎に包まれ、ジリジリと肉を焼く焦げた臭いが一気に充満する。
そして……無気力な手のひらを前に出して迫ってきた。
――トッ……トッ……トッ。
「敬オマエヲ太ノロイ助けコロシテてよーヤル熱オマエいヲノロイよコロシテヤル死にオマエヲたくノロイないコロシテ……」