ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



「しっかりしろ!」

「け、け゛いた……ああ、りがとね」

そこにいるのは、正真正銘の由香里だった。

「敬太に抱きしめても……らったとき、ッごく幸せだったよ。沙奈は幸せ者だ……ね?」

彼女は弱々しい目で俺の正面にいる沙奈を見ていた。

「由香里……」

「あ゛たし、もうダメだね。熱いはずなのに、すッごく寒いんだ……。死ぬのかな?死んじゃうのかな……?」

「そんなこと……」

「グズッ……由香里ぃ……」

励ます言葉が見つからない。

何故なら、俺は知っているからだ。

磨理子の心臓が再び動いた30分。

この長くもなく短くもない時間が、”鬼”の寿命だと。

「眠くなってきちゃった……」

「由香里!」

「グズッ……ィャ……」

「も゛し目が覚めたら、……そのときは、また、よろ゛しくね」

「あぁ! なに言ってんだよ!」

「ィ゛、逝かないで……」

俺たちはもう一度、由香里を抱きしめた。

やはり、愛しくて、哀しくて……。



 
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