ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



「宇治木さん! 鑑識のオーケー出たんで」

「ぁ、あぁ!」

階段をおりてくる担架は、見えないようにブルーシートで覆われている。

「問題は……」

運びだされる、おそらく浦野であろう担架に顔をしかめる宇治木。

だが、そちらには行こうとせず、軽くうなずいてから再び俺たちの方を向いた。

「キミらは浦野さんと関わりがあったのか?」

「「…………」」

またも黙秘を貫こうとする俺たちに、彼は怒りをあらわにした。

「人が死んでるんだぞ!」

「「…………」」

彼の恫喝に、周りの捜査員たちも絶句する。

「す、すまん。つい……」

はっとしたように続けた宇治木だが、気まずい雰囲気が漂う。

そのとき、しばしの沈黙を切り裂くように、ひとりの警官が宇治木に駆け寄り、コソコソと耳打ちをした。

「……なに!? まちがいないのか?」

「えぇ」

急に、ふたりは俺たちを見おろす。その目はまるで蔑むようだった。

「本庁まで来てもらおうか」

否応なしに腕をつかまれる。

「敬太!」

「沙奈……」

別々の車両に押しこまれ、すぐに急発進。

俺の横には、体温の変化さえも見逃さないと言わんばかりに、ピタリと張りつく宇治木。

沙奈も多分、同じような境遇にいるだろう。

そう、俺たちの扱いはあきらかに“犯人”だった。

無理もない。

ひとりだと思われた仲間の死が、実はふたりだとわかり、事情を知っているであろう俺たちが沈黙を貫く。

疑われて当然で、この現実を受け入れるしかなかった。

「これから取調べを受けてもらう。いいね?」

「はい」

車内の独特な雰囲気に緊張する。

……このまま逮捕されてしまうのかな。

「…………」

そんな不安さえも言葉に出せないムード。

一般道を少し走ったあと、車は高速に入る。

めまぐるしく変わる景色に興味など湧かず、ここ最近の記憶だけが頭の中を駆けめぐる。

6本の炎を消した誕生日の楽しい時間も、4人の友を亡くしたこの数日間も……。

残る命の灯火は、俺と沙奈のふたつだけだ。



 
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