ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



15分後。

とあるコンビニの駐車場で車が停まった。

「ここだよ」

宇治木はハンドルから手を離し、買い物をするかのように颯爽と店内へ。

俺もあとを追った。

彼はまず、レジに立っている店員の名札を確認した。

「前原さんですね?」

「は、はい」

「警視庁の宇治木と申しますが、ことみさんと、少しお話を……」

顔を見合わせる、おそらくオーナー夫婦であろうふたり。

「娘は上の自宅にいますが……」

父親はとたんに、接客の基本を忘れた。

だが、やはりそこは母親、警察相手にも食ってかかる。

「もう、そっとしといてくれませんか!? おしゃべりする暇があったら、早く犯人を捕まえてちょうだい!」

「は、はぁ」

「帰って! 営業妨害で訴えるわよ」

取り付く島もないほどの威圧感。

気付けば、自動ドアが開くほど、あとずさりをしていた。

「「…………」」

今度はふたりして沈黙。

「参ったなぁ……」

宇治木は頭をかきながら、しかめっ面をし、俺はあきらめきれずコンビニの左後方に回る。

「大橋くん……?」

そこにあった自宅へと続く階段を見つめながら、

「このままじゃ帰れません!」

と、足を踏みだす。

――カンッカンッカンッ。

「ちち、ちょっと待って! マズイって」

宇治木はもちろん制止する。

しかし、その手は軽い。

彼もわかっているのだ、ここが”最後の砦”だと。

俺は迷いなく、インターホンを押す。

「あ~あ……」

2回。

「…………」

3回。

反応はない。

「帰ろう。また明日来ればいい、ね?」

「…………」

……沙奈には、沙奈を失う俺には、明日なんてない!

俺は、おもむろにドアの取っ手を引いてみる。

「ぁ、開いた……」



 
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