ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



「俺さ……中学も高校でも、好きな人を見つけることができなかった。友達と遊んでるだけで十分だったんだ。冗談でよく言われてたよ、お前はゲイなんじゃないかって……」

そこまで話し、ひとりでフッと笑う。

「笑えるよね。だけど、わかったんだ。バイト先で沙奈に出会えて、俺はこの子を待っていたんだ!ってさ。初めて好きになれる子を見つけた。だけど……その大切な子が、今日死ぬかもしれないんだ。怖いよ。怖くてどうしようもな……」

――ガチャ。

「ぇ!?」

そのとき、ほんの少しドアが開いた。

すぐに立ちあがり、掌で押す。

「ことみちゃん……?」

まっ暗な部屋の中央に佇む人影。

不穏なオーラを身にまとっている。

「もしかして……、開けてくれたの?」

「……はい。私の彼氏、あの呪いのゲームで死んだんです。同じ思いをしてほしくないから……」

「ありがとう」

俺の視線は、彼女のある部分に釘付けだった。

「やっぱり……」

そんな言葉が口をついて出る。

俺の予測が確信に変わった。

右手に、幾重にも頑丈に巻かれた包帯。

「電気、点けるね」

パッと明るくなった部屋で、彼女はすごく眩しそうな顔をして瞼を閉じる。

どうやら、長く光を浴びていなかったようだ。

……小指……。

改めて見ると、よくわかる。

不自然な長さの小指。

むしろ、ないと言っても過言ではなかった。

「終わらせる方法って……」

いきなり核心を突く問いに、彼女は強い口調で返す。

「死ぬか、小指を失うか……そのどちらかです」

そう、これが”終わりの儀式”だ。

……助かる! でも……。

一瞬、高揚した気持ち。

だが、手放しで喜ぶことはできない。

それは彼女の表情を見れば、自ずとわかること。

「気付いたのは菜摘でした……」



 
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