ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



「始発で帰れば間に合うよね?」

「うん!」

学校や社会に、いつも制限されている俺たちのリミッターが外れた。

再び、真夜中の閑散とした公園に笑い声が響き渡る。

「シーソー乗ろうぜー!」

「乗る乗る」

川本くんの言葉に、沙奈が駆けだしていく。

それを複雑な気持ちで見つめながら、俺はブランコを漕いでいた。

「となり、よろしいですか?」

「佑美……」

沙奈のために空けていたブランコに佑美が乗る。

――キィー、キィー。

「敬太さー、いつまでウジウジしてんの?」

――キィー、キィー。

「…………」

俺は、なにも答えられない。

「キャハハハッ……」

いつもどおり、ちがう人の前で笑う沙奈を遠くから見つめているだけ。

さびしげだった遊具は、俺たちが乗ることで存在意義を保っているが、乗っている俺がさびしくなっては元も子もない。

――キィー、キィー。

「早く決着つけてくれないと、私も困るんだけどなー!」

佑美はそう言いながら、俺よりも高く漕ぐ。

「ぉおい! あぶねえぞ!」

その視線は沙奈に向いていた。

……ん? どういう意味だ?

「佑美さ、もしかして……」

――キィー、キィー。

「なによ!?」


 
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