ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



すべてを話し終えたとき、沙奈はすでに痛そうな顔で小指をさすっていた。

「噛み切られるの……?」

瞳にいっぱいの涙を溜めながら問う。

「あぁ。残念だけど、死を回避する方法はそれしかない」

決断させるためにも、強い眼差しで答えた。

「…………」

はるか昔から、小指は”恋人”という意味を持っている。

磨理子が愛する夫、敏也に裏切られたその怨念が、小指を噛み切ることで浄化されるのかもしれない。

と、俺はそう推測している。

そして、あのゲームをした人に一生の傷を与えることで伝えたいのだ。

“私を一生忘れるな”と……。

「受け止めるしかないよね……」

沙奈も感じ取っていた。

磨理子の母親に会い、磨理子の生涯に触れ、無念や哀しみを知っているからこその言葉。

「私が敬太を守ってあげなきゃ」

「え?」

「だって、敬太は最後の鬼でしょ? 私が死んだら、終わりの儀式はできなくなるじゃない。私が助かること、それは敬太を守ってあげることだもん。そのためなら、小指くらいあげちゃう!」

「沙奈……」

彼女は泣きながら笑っていた。

本当は怖くて逃げ出したいはずなのに、俺のために笑ってくれた。

「行こっ!」

掌を差しだして立ちあがる。

……いつの間に……沙奈は強くなっていた。

俺はこの愛に守られていたのだろう。

「あぁ! 行こう」

想像してみるんだ。こうして歩く俺たちを、みんなは天国で、どう見ているかって。



 
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