ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



どこにでもいるカップルのように、ふたりでコンビニを物色する。

必要な物をそろえ、電話で呼んだタクシーに乗りこむ。

さすがに、このときにはもう、俺たちに笑みはなかった。

ルームミラー越しにその雰囲気を感じ取ったのか、運転手も気安く話しかけてこない。

――ガサガサ。

袋から中身を取りだす。

まず、輪ゴムを沙奈の小指に何重も巻いた。

「痛い!」

「それぐらいがちょうどいい。これで出血を抑えられるし、痛みも少ない」

「うん……」

次に、自分の小指にも巻いていく。

「あとは……」

止血用のタオルが2枚、ジッパー付きの小袋も同数あることを確認する。

大きく深呼吸をしたとき、あの公園に着いた。

「ここでよろしいですか?」

「はい」

メーターを切ろうとする運転手。

「待ってください!」

「え?」

「とりあえず、ここまでの分は支払います。でも、少し待機しててくれませんか?」

「ぁ、はい……かしこまりました」

運転手は不思議そうな顔をしながらも、了承してくれた。

さらに、もうひとつお願いをする。

「待っている間に、ここから一番近い救急病院をナビに設定しておいてください」

「救急病院……?」

「はい。戻ってきたらすぐ、そこへ向かってほしいんです」

「えぇ……はぁ……」

時刻は2時54分。

相当、不審に思われているにちがいない。

「じゃあ行こうか」

「……うん」

俺たちはタクシーを降りて、暗い公園を突き進む。



 
< 144 / 161 >

この作品をシェア

pagetop