ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
どこにでもいるカップルのように、ふたりでコンビニを物色する。
必要な物をそろえ、電話で呼んだタクシーに乗りこむ。
さすがに、このときにはもう、俺たちに笑みはなかった。
ルームミラー越しにその雰囲気を感じ取ったのか、運転手も気安く話しかけてこない。
――ガサガサ。
袋から中身を取りだす。
まず、輪ゴムを沙奈の小指に何重も巻いた。
「痛い!」
「それぐらいがちょうどいい。これで出血を抑えられるし、痛みも少ない」
「うん……」
次に、自分の小指にも巻いていく。
「あとは……」
止血用のタオルが2枚、ジッパー付きの小袋も同数あることを確認する。
大きく深呼吸をしたとき、あの公園に着いた。
「ここでよろしいですか?」
「はい」
メーターを切ろうとする運転手。
「待ってください!」
「え?」
「とりあえず、ここまでの分は支払います。でも、少し待機しててくれませんか?」
「ぁ、はい……かしこまりました」
運転手は不思議そうな顔をしながらも、了承してくれた。
さらに、もうひとつお願いをする。
「待っている間に、ここから一番近い救急病院をナビに設定しておいてください」
「救急病院……?」
「はい。戻ってきたらすぐ、そこへ向かってほしいんです」
「えぇ……はぁ……」
時刻は2時54分。
相当、不審に思われているにちがいない。
「じゃあ行こうか」
「……うん」
俺たちはタクシーを降りて、暗い公園を突き進む。