ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
ズ――
ズズッ――
ザザザザザザッ――
すっと音がなくなった世界で、まるで待ちわびていたかのような地響きが、後方から迫ってくる。
ズズッ――
ザザザザザザザザッ――
ズズッ――
ザザザザザザザザッ――
「ヴゥ……けい゛たぁー……」
「すぐに終わる! ……すぐに゛終わるから」
励ます思いと願いは強くあるが、俺たちにうしろを振り返る勇気はない。
ズズッ――
ザザザザッ――
繋がれた手を目指すように、その音はやってくる。
与えられた災厄、この世の理不尽さを呪う怨念をまとった磨理子が、己の信念だけは曲げまいと、ただまっすぐに……。
しかし……。
…………
突如、音がピタリとやむ。
俺は視野のギリギリに意識を集中した。
繋がれた小指の後方……。
……い、いない。
磨理子は消えた。
無意識に首を逆方向に回す。
そのとき!!
「ぁ゛……ッ……」
俺の左どなりに、彼女はいた。
…………
ただ、じっと、見あげている。俺を、俺だけを。
だが……その姿は、常軌を逸していた。
首が背中にピタリとくっついてたのだ。
怖すぎて、視線を外せない。
「けいたぁ゛ー! もう消えたの!? ねえ!」
沙奈は見ていないようだ。
「うう゛ん……、ここに、いるよ」
目を逸らせばもう逃げられない気がした。
ただひとつわかること。
それは、俺たちの命が彼女の手中にあるということだけ。
ズッ――
ザザザザッ――
磨理子は向きを変えた。
獲物を品定めするかのように、今度は沙奈の後方へ。
「沙奈! 目を閉じてろ!」
グッグ――
ググググッ――
磨理子はゆっくり沙奈の背中をよじ登っていく……。