ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
……イ、ポ?
笑い声の合い間に混じる、言葉……のようなもの。
なんだ!?
その刹那!
…………
笑い声も。
「……ぇ!?」
磨理子の姿も。
「消えた」
そこは……。
誰もいないブランコ。
誰もいないすべり台。
誰もいない公衆便所。
まばたきひとつで元の世界に戻っていた。
助かった……。
……助かったんだよな!?
「っう゛!」
張りつめていた緊張が一気に解け、それにより手の痛みを思いだした。
「沙奈っ!」
沙奈のもとに駆け寄る。
「キ、キミたち大丈夫かい!? 悲鳴が聞こえてきたから」
ちょうど、公園の入り口から走ってくる、タクシーの運転手が見えた。
「゛……うう゛」
うっすら目を開き、低くうめく沙奈。
「血!? 血が出てるじゃないか!」
俺はそれを隠すように、用意していたタオルを自分と沙奈の手に巻く。
「今すぐ、病院に! お願いします!!」
俺は沙奈を支えながら走った。
運転手は、頭に乗せた帽子が落ちないように押さえながら並走する。
「なにが、いったい、なにがあったんだ!?」
「…………」
話している余裕はない。
むしろ、話しても意味がないと思った。
それほどに、俺たちは人知を超えた経験をしたのだ。
――バタンッ!
乗りこむと同時に、走りだすタクシー。
運転手はルームミラーでチラチラとうしろの様子を窺う。
……ハッ!
このとき、心臓が横に揺れるようなざわめきを感じる。
「まさか……」
俺は大きなまちがいを犯したのではないか。