ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
救命入口の扉が開くと、ふたりの看護師が詰め所から出てきた。
「お願いします! すぐに処置してください!」
状況が飲みこめなかったのはほんの束の間で、ひとりが走り寄る。
「ケガですか? 発作ですか?」
「ケガです! この子はショックで気を失っているだけで」
「わかりました。こちらへ!」
診察室に通され、看護師はまず沙奈の手に巻きつけられたタオルをめくる。
「……ッ! 小指が……ない」
ギョッとしたように俺の顔を見る。
「まさか、あなたも!?」
俺は無言でタオルを取った。
そのとき初めて、明るい場所で傷口を見た。
「ッ……」
刃物で落としたようにキレイなものではなく、いかにも噛み切られたような、いびつな痕。
「…………」
絶句した。
「取れた小指は!?」
医師が白衣をはためかせながら俺に問う。
「それが……ないんです」
「ない!? ふたりとも?」
「はい」
無気力に引き下がる掌。
「じゃあ……女の子にはとくに酷だけど、このまま縫合するしかないかもしれないですね」
「……はい、お願いします」