ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
ふたりの処置に1時間もかからなかった。
ケガの理由について問われた俺は、とっさに「通り魔に遭った」と言い訳をした。
精神的ショックにより沙奈は病室に移され、俺は薄暗い待合所で物思いにふける。
――パタパタパタパタパタパタッ。
処置室の方向に走るふたりの人影に気付き、立ち止まる。
「「…………」」
俺は深々と頭をさげた。
すると、男性は怒りの形相になる。
「冴木さんのご両親ですか?」
一触即発の雰囲気を遮ったのは、看護師の声。
「「はい!」」
「お嬢さんはこちらです」
――パタパタパタパタッ。
ふたりが病室に入ったあと、俺はドアの前で待つ。
中から、ケガの具合を説明する医師のかすかな声。
嗚咽をこらえる女性の声も洩れてきた。
――ガラガラガラッ。
「ぁ……」
暗い顔の沙奈の両親が出てきた。
その落胆ぶりに、次の言葉が出てこない。
「貴様かぁ!?」
――ガンッ!
父親は俺を見るなり殴った。
その反動で俺の身体が床を滑る。
「お前が娘をたぶらかすから、こんなことになったんだ! ちがうか!?」