ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
30分後……。
「沙奈! ……よかった。よかった……」
駆けつけた父親は安堵の涙を流す。
俺はそれを一歩一歩、フェードアウトしながら見つめていた。
……ごめんな、ごめん。
おもむろに視線を向けた沙奈に、『さよなら』と心でつぶやいて病室を出た。
「そのとおりになったな……」
ひとり歩く帰路、今はなき小指に話しかける。
恋人を意味するそれは、たしかに俺の手から消えていた。
これが、伊達磨理子から受けた罰。
都市伝説と軽く見た罪の代償は、あまりに大きすぎた。
日が経つにつれ、包帯を巻く回数は減り、そのたびに俺を避けようとする人は増えていく。
見てはいけないものを見たような顔をして、見て見ぬフリ。そして、関わらないように遠ざかる。
もう慣れてきたことだ。
失くしたモノが多すぎた夏は、取り巻く環境だけが、何事もなかったように過ぎ去ろうとしていた。