ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
「どうしたの?」
「どうしたじゃないよ! ずっと泣いてたんだよ。敬太に裏切られたと思って……」
初めて彼女の本気で怒った顔を見た。
急激に襲いくる罪悪感。
「ごめん……」
「会いにきてくれないし、電話もメールだって!」
「だから! それは……」
……男と男の……。
「男と男の約束とか言うつもり?」
「ぇ!?」
「さっきママから全部聞いた。パパと約束したんでしょ? 私には会わないって。それが私のためだって」
「うん」
「真面目すぎるの、敬太は! そこが好きなんだけど……」
「え?」
「バカ! 破ってよ、そんな約束!」
「ごめん……」
「敬太がいなくなって、なにもやる気が起きなくて」
そこで沙奈は息を吸った。
「とにかく! 会いたくて、いても立ってもいられなくて。だって……私、敬太がいなかったら……ッ」
俺は沙奈を抱きしめた。衝動的に。
「本当に、ごめん!」
「……私こそ、今まで気付けなくて……ごめん。ごめんなさい」
ずっと守ると誓った。
ずっとそばにいると言った。
だけど、結局俺はウソツキになった。
そんな俺を、また神様は許してくれるみたいだ。
だからこそ、沙奈は今、俺の胸の中で泣いている。
「私のこと、これからも守ってよ……」
一度は離れてしまった愛に、不安を隠せない思い。
でも、今度こそ俺はその哀しい瞳と向かい合う。
……俺が、幸せにする。
「あぁ! 絶対に守る! もう離れないから」
「敬太……」
俺は、彼女の唇に優しくキスをした。
「好きだよ」
「……わたしも」
俺たちは、新しい一歩を踏みだした。
そんな今夜は……。
終わりを迎えたあの日から、33日目の夜だった――。
