ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
誰ともなく、つぶやかれた声。
たったひとり、彼の姿だけがなかった。
「小泉行くぞ! お前らはここで待ってろ」
「マジで!? マジで行くの? まさか、公園に戻るわけじゃないよな?」
逃げ腰な小泉の腕を無理やり引く。
俺だって、ひとりで戻るのはごめんだ。
「敬太、私も行く。川ちゃんが心配だもん」
沙奈は、俺のシャツの裾を引いた。
「来るな!」
「でも……」
「沙奈はここで、ふたりと一緒にいてくれ! な? 俺が必ず、川本くんを連れてくるから」
あんな危険な場所に女の子を連れていくわけにはいかない。
まして、好きな子など……。
「……わかった」
沙奈の目を見て小さくうなずき、俺たちは再び外に出た。
胸が締めつけられるように痛いのは、怖いからじゃない。
やはり沙奈は川本くんに思いを寄せていると実感したからであった。
……もし、このまま彼がいなくなったら……?
「……クソ、こんなときに、なに考えてんだ!」
「本当だよ!」
「えっ!?」
自分に言ったはずの言葉に答えが返ってきて驚く。
「アイツって我が道を行くタイプだけど、こういうときぐらい協調性を発揮してほしいよな!」
「ぁ、あぁ……」
本当にそうだろうか。
彼は自分の意思で俺たちから離れたのか。
さっきから嫌な予感がしている俺はそうと思えず、曖昧に言葉を返す。
そうこうしているうちに、あの公園が見えてきた。
今度はふたりとも逃げ腰で、公園の外に備えつけられた金網から中をのぞく。
風が吹いていた。
犬の遠吠えだって聞こえる。
同じ暗さでも、先ほどの闇と比べると別の世界のようだ。
戦々恐々としながら、黒い”アレ”がいた場所に目をやると……。
「マ、マジかよ……」