ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
――カ……ッチャ。
親を起こさないように、ゆっくりと玄関のドアを開けた。
全員がつま先歩きで、2階の部屋に入る。
パーティーの名残りを残したままの一室。
俺は入った途端、些細な違和感を覚えた。
「あれ……」
無造作に置かれた補助カバンは同じ位置。だが”なにか”が足りない。
「どうしたの?」
佑美がいち早く俺の異変に気付いた。
「んー……」
すると、沙奈が言う。
「川ちゃんのギターがないよ!」
……そうだ! それだ!
たしかに部屋を出る前は、俺の勉強机に黒のギターケースが立て掛けられていた。
じゃ、先に俺んちに戻ったのか?
でも……。
不可解なのは……、
「でもこれ、川本くんのじゃん!」
と小泉が補助カバンをつまみあげる。
「…………」
訳がわからず、みんな言葉を失う。
「ギターが大事すぎて、制服持って帰るの忘れたんだろうな」
俺がボソッとつぶやくと、
「……プッ」
「ハハハッ、川本くんなら、ありえるね!」
ひょんなことから、みんな笑顔を取り戻す。
「なんか疲れたぁ~……」
脱力したようにへたりこむ佑美。
ほどなくして、ひとりずつ瞼を閉じていった。
5分もしない内に、小泉は大口を開けてバカっ面で寝ているし、沙奈は由香里の太ももの上で、可愛いらしい寝顔を見せていた。
佑美も自分の補助カバンを枕にしてスヤスヤと寝息を立てる。
みんなの穏やかな表情に安堵し、俺も携帯を握りしめたまま……。