ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
「おい! みんな起きろ!」
あわてて、みんなを叩き起こす。
「ん~、敬太ぁ……どうしたの?」
「アイツが、川本くんが大変なんだ!」
背中をつーっと冷や汗がつたう。
「えぇ~……あっ! もう始発出てるじゃん。帰ろっ!」
寝ぼけたような声の由香里は、俺の言葉にお構いなしで忙しく荷物をまとめだした。
「そ、そうじゃなくて! 川本くんが……大変なこ、ことになってるんだよ!!」
焦る言葉も、空回りする。
「はあ~?」
どうやら、眠る前の出来事は夢の彼方に消えてしまったようだ。
急に騒がしくなったからか、小泉と沙奈も続けて目を覚ます。
言葉を詰まらせながらも、俺は必死になって状況を説明するが、寝起きの彼らにはうまく伝わらない。
みんなの目的はたったひとつ、”電車に乗ること”だ。
「だーかーらー! お前は心配しすぎなんだってば!」
「そうだよー。もう朝だもん。今頃、川本くんもグーグー寝てるって!」
小泉も由香里も沙奈さえも、まともに聞く耳を持たない。
「ちがう! お前らが能天気すぎるんだよ! な、聞いただろ? 佑美からもみんなに言ってくれ」
あの声を聞いた佑美になら、わかるはず。
期待を込めて見つめた。
「んー……、川本くんがふざけてただけじゃないの?」
「ッ!?」
……ダメだ。
「さぁ、早く帰ろっ!」
由香里の言葉に、みんなが眠たい目をこすりながら立ちあがる。
俺は自らに言い聞かせていた。
電話から聞こえてきた声は、幻聴だったと。
川本くんはただ、駅のホームにいただけだと。
それでも、耳に残るあの言葉。
《ツギハオマエダ!!》
……あれは俺のことを指しているのか? それとも……?
「あれ? ない……なぁ、誰か、俺の携帯知らない?」
小泉はポケットやカバンを漁る。
「やっと気付いた?」
「佑美! 隠してたな!?」
「だって、私の目の前に落ちてたんだもん」
……この携帯の持ち主を指しているのか……?
気になった俺は、みんなを送りがてら駅まで一緒に行くことにした。