ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
“捕まった者は、罰として手足を失います”
……書かれていたとおりだ……。
「どうしたの? なにか思い出した?」
「ぃ、いえ! なにも……本当に彼は……?」
「あぁ。残念だが……」
俺は額に手のひらを置いて、うなだれた。
絶望と格闘している俺を見かねてか、やっと口を開こうとした今川を浦野が制し、ふたりはリビングを出ていく。
これ以上話を聞いても、得られるものはないと思ったのだろうか。
「……ッ……まぶしい」
どのくらいたっただろう。
気付けば窓から陽射しが差しこんで、鳥も優雅に空を舞っていた。
時刻は、朝の6時半。
「学校……行かなきゃ……」
座っていたソファから身を剥がし、無気力にトボトボと歩きはじめる。
頭の中はまっ白のまま、最寄りの駅へと向かう。
何事もなかったように人で混み合うホーム。
電車は定刻で動き、早朝の人身事故の影響など微塵も感じさせない。
「なんでだよ……クソォ!」
くやしい。
大切な仲間を失ったのに、世の中はなぜ、こうも普通なのか。
ただただ憤り、腰掛けたベンチで涙を流す。
足早な都会人は見向きもせず、エサを探し求める鳩だけが俺の相手をしてくれた。
あと1分。いや、あと10秒でも早く電話をしていたら、彼を救えたかもしれない。
それ以前に、もっと真剣に行方を追って、探し続けていれば……。
《まもなくー、2番ホームに電車が到着いたします。白線の……》
フラフラと立ちあがる。
ホームに備えつけられた鏡に自分が映っていた。
「俺が殺したんだ……」
猛スピードで進入してくる電車のように、自責の念が一気に哀しみを駆り立てた。