ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
学校に着いた時間は、朝礼と1時間目の間。
全8クラスあり、俺たちの教室は端から4番目。
1組……2組……3組……。
横目に見ながら通りすぎると、どのクラスにも泣いている女子が数名いた。
全員が一日に一度は必ず、4組まで川本くんを見に来るファンの子たちだ。
……やっぱりもう今朝のことは……。
きっと俺のクラスにも泣いている子はいるだろう。
少なくともふたりは。
――ヒソヒソ。
「大橋くん来たよ。いつも一緒にいたよね? 知らないんじゃない? 絶対ショック受けるよね……」
――ヒソヒソ。
ひそめた声の間を通り抜け、教室へと入った。
「敬太!?」
誰よりも早く気付いたのは佑美。
その声で、場の空気が静まり返る。
「い……ま……ま……で……!」
言葉を刻みながら、佑美の表情は怒りに満ちていく。
だが、途中で机に顔を伏せている沙奈の肩を何度も叩いた。
「沙奈! 沙ぁ奈っ! 敬太、来たよ」
呼びかけに反応した彼女は、パッと顔をあげて俺を見る。
……やっぱり。
その顔は涙でグシャグシャだ。
「……ぇ!?」
次の瞬間には、俺の胸の中にいた。
クラスのみんなは、見てはいけないものを見たように視線を外す。
「今まで、どこ行ってたのよ!? 電話したんだよ! 繋がらないし学校にも来ないし。……川ちゃんが、川ちゃんがね……」
「沙奈、少し落ち着いて!」
「川ちゃんが……」
彼の名前を何度も繰り返し、その度に胸が締めつけられた。
「お前、知ってるのか?」
小泉が、たったひと言で確かめる。
「……あぁ」
それ以上、お互いになにも言わなかった。
「もしかして、”アレ”が原因……じゃないよね?」