ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
最後を締めくくったのは、おそらく車のブレーキ音。
もう一度、電話して、確かめたい。
だが、指が躊躇した。あの、おそろしい言葉をを聞くかもしれない恐怖で。
が、無理やり指を動かす。
「頼む、出てくれ……」
《……お掛けになった電話は、現在、電波の届かない》
出ない。
だが、いつも聞く機械音声に希望をもらった。
……普通のセリフだ。あのときとはちがう。
「まだ、なにも起きてないはずだ……」
携帯が軋みをあげるほど強く握る。
コンビニは、もうすぐそこ。
四方を隈なく見渡しながら小泉を探す。
……家に戻ろうとしていたのなら、ここら辺で落ち合うはず。
「どこだ?」
角を曲がったとき。
「……んっ!?」
道のまん中に、中身の詰まったコンビニの袋が落ちていた。
駆け寄って手に取る。入っていたのは、小泉が愛読している週刊誌。
肝心の彼の姿はない。
「キ、キミ! もしかして、さっきの男の子の友達?」
「え?」
路肩にハザードを出して停車していた車の中から、40代ぐらいの男が降りてきた。
「なにかあったんですか!?」
すると男は、しどろもどろになりながら話しはじめる。
「と、突然、飛び出してきて、それで、少し。ほんの少しだよ! 車が当たっちゃって……。気絶してたから起こそうとしたら、カッと目を見開いてさ……」
「それから!?」
「ぁ、あっちの方に歩いていったよ」
俺は愛想のない別れを告げて、その男が指で示した路地に走った。