ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
「お、おい! な、なにやってんだよ!」
次の瞬間、突然その場に寝転がった。センターラインを背にして、まるで大草原にいるかのように手を大きく広げて。
「やめろー! 小泉!!」
右車線、前から大型車が迫っている。後方からも同じ距離に2tトラック。
「ふざけんなっ!」
俺は全速力で歩道橋の階段を駆けおりる。
一刻の予断も許さないこの状況。
――ブアァーーーンッ!
その刹那。
――グチュ―ッ、ビチッ……。
かつて聞いたことのない音がした瞬間、
「う゛わ゛あぁあぁっ!」
断末魔の叫び。
目の前で起きた惨劇に腰が抜けて、俺は階段を転げ落ちた。
ゴロンッ。
すぐさま、俺の視野の中になにかが転がってきた。
「っっつ゛!?」
血まみれの……、
「うわああああーーー!!」
切断された腕。
車道には主を失った足が転がり、他にも肉の塊が見えた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛ー!」
小泉の悲鳴が俺に自我を取り戻させる。
俺は流れの途絶えた車道の中へ飛びこむ。
「小泉っ!」
「い゛てぇ、痛てぇよ! たずげでぐれ゛ーっ!」
四肢を引き裂かれても、彼の意識はあった。
だが、辺り一面、血の海。
「だ、大丈夫か!? い、今、救急車呼ぶから!」
握りしめていたはずの携帯。
「あれ……」
……ない。きっと階段のどこかだ。
「う゛ぅうう゛……」
膝下から夥しい量の血が溢れ出ているポケットから小泉のケータイを掴み、震える手で番号を押す。
『もも、もしもし!』
冷静さなど保てるわけもなく、声は激しく震えた。
『お願いします! 救急車を! 急いでください!』
『…………』
『聞こえてますか!? も、もしもし!?』
『…………』
ただならぬ違和感。
《フフフフッ―― ハハ八ハッハ!》
ぞっとする声に、記憶が鮮烈によみがえる。