ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
残された胴体が痙攣しはじめ、呼吸は一定のリズムを刻む。
時同じくして、サイレンが近付いてきた。
――ガシャン! ガラガラガラ……。
到着した救急車から降りてきた隊員は、すぐさま小声で、
「これは無理だろ……」
とつぶやく。
すでに、小泉の意識はない。
ひとりが放心状態の俺の肩を掴み、
「キミは、彼の友達? 一緒に来てくれるね?」
と言った。
その表情は、あきらかに暗い。
階段に落ちていた自分の携帯と、道路に転がった小泉の腕と脚を拾い、救急車に乗りこむ。
車内では隊員たちがあらゆる処置をしてくれているようだが、ため息が幾度となく洩れていた。
俺は小泉のやけに穏やかな顔を見つめる。
「ッ……」
こういうとき、手を強く握りしめて懸命に励ますものだ。
……なのに。
その手は……ない。
「クソッ!」
間に合わなかった。助けられなかった。
味わったことのない後悔が俺を襲う。
……あのとき、俺が寝ていなければ……。
「出血がひどすぎる。これで生きているのは奇跡だ! でも……」
言葉を詰まらせる隊員。
俺もそれ以上は聞かなかった。
医学的知識の乏しい俺にだって、さすがにわかる。
一瞬で、あれだけ噴きだすように大量の血液が流れれば……。
こんなこと、思いたくもない。
だが、俺は早くも受け入れることに専念していた。
彼は、小泉は助からない、と……。